2008年06月27日

マクロ解剖生理学(23)興奮と伝導

神経細胞には、細胞膜のウチとソトとの間に電位差(膜電位)があります
静止状態の膜電位を静止電位といい、興奮状態の膜電位を活動電位というんです
膜電位は神経細胞が刺激を受けて興奮するときに大きく変化、軸索を伝わります

これを 伝導 といいます

ここで必要な単語は
『静止電位』『ナトリウムポンプ』『活動電位』『伝導の原則』『跳躍伝導』
です
それぞれみていくと

●静止電位

・通常、細胞内は(細胞)膜を介して外に対して −70〜−90mvの電位 を示します
・この(電位)状態は 細胞内外にのイオン分布の違い で作られます
ソトは Na+、Cl- が多く
ウチは K+、タンパク質イオン が多いです
両者のイオンは チャネル を通って移動し、イオン分布をつくります



試験的に 移動するのはK+とNa+ と覚えておけばいいかと
・K+は拡散と電気の引き寄せ(タンパク質イオンが−だから)で移動します
まぁこっちの移動はあまり問われません。問題はNa+の方です
・Na+の移動では、
Na+が拡散(濃度が高いほうから低いほうへ移動)で細胞内に入ってくるため
入ってきたNa+を 強制的に外に吐き出すシステム があります
これを ナトリウムポンプ といい
流れ(濃度勾配)に逆らって 能動的 に行うので
ポンプ作動には エネルギーが必要 です

●活動電位

細胞が興奮してるときに発する膜電位(+20〜30mv)のことです
細胞が興奮を起こす最低の刺激量(閾値)を超えれば
刺激の強度に関係なく一定の形・大きさで発生します(全か無かの法則)
逆を言えば
刺激が入っても 閾値に達しなければ 活動電位は発生しません
試験で活動電位について聞かれることが多いのは
この辺が、治療の際のドーゼ(刺激量)と関係あると思われてるからかも

教科書だとこの部分には山なりの図が載ってますね
なにやら色んな単語が書いてありますが、全部覚える必要ありません
『分極』という単語をおさえておけば内容理解できると思います

分極とは 膜が電位をもつこと(図でいうと0から離れること) です
なので、電位が0に近づくことを 脱分極 といいます
活動電位を起こしたとき電位は0より上にいきます(オーバーシュート)が
その後、またもとの状態(静止状態)に戻らないといけないので
再び分極する(再分極)わけです

このとき(脱分極相と再分極相の間)、細胞は新たに興奮できません
この時期を (絶対)不応期 といいます

●伝導の3原則

@絶縁性
神経線維の興奮は、隣を走ってる他の神経線維には伝わりません
こんなことになってたら触っただけで痛みが起こることになります
A不減衰
伝わる興奮の大きさは弱らず一定ってことです
厳密には弱るらしいですが、まぁそんなことは問われません
B両側性
神経線維の一部を刺激すると、興奮は両方向へ伝わります
でも
ふつう生体内では一方向です(両側性は実験的な話)

●跳躍伝導

髄鞘をもつ有髄線維にみられます
活動電位が軸索を伝わる際、
ランビエの絞輪から絞輪へとジャンプしながら伝導することをいいます
電車でいうところの各駅停車と特急の違いですね
普通に伝導する(無髄線維の伝導)より速いのは比べるまでもないかと

伝導の速さは 線維の太さと温度 に影響を受けます

伝導速度を上げるには線維を太くしなければならないわけで
ある程度複雑な神経系をもつ動物ではこういう形式の伝導でないと機能できないんでしょうね

次回は伝達についてです

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2008年06月07日

マクロ解剖生理学(22)にゅーろん


ニューロン(神経単位)とは

細胞体 + 樹状突起 + 軸索  のこと


で神経細胞と同意語として使われています

●細胞体
試験で問われることは無いと思います
超おおざっぱにいえば『細胞』の章に出てくる知識で充分です
ここがやられるとそのニューロンは死にます(軸索切れても細胞体生きてれば復活できる)

●樹状突起
ここは他のニューロンから情報を受け取る部分です
枝が茂っていればいるほど受け取る情報量は多くなります
樹状突起の発達してるやつっていうと小脳にあるプルキンエ細胞が有名ですかね

●軸索
一言で言うと、他の神経細胞へ情報を伝える出力装置です
ここを活動電位が伝わって神経終末まで伝えられ(伝導)
神経終末から放出される神経伝達物質を介して次のニューロンにバトンタッチ(伝達)
されるわけです
そのほかにも、
神経終末や軸索に必要な物質(神経伝達物質の材料やエネルギー源など)を
細胞体から終末まで運ぶ仕組みも持ってます(軸索輸送
なので
軸索が切れても、細胞体さえ死滅しないで生き残ってれば
細胞体側から必要な物質が運ばれて1日約1mmのペースで再生していきます
細胞体が死滅してると物質自体が作られないので変性して消えちゃいます



ニューロン.png


●ニューロンのタイプ

ニューロンは、軸索や樹状突起の数や極性によって大きく5種類に分けられます
・無極ニューロン:これは神経の芽です
・単極ニューロン:1本の軸索のみのもの(網膜のかん状体細胞・錐状体細胞
・偽単極ニューロン:樹状突起と軸索がくっついてるやつ(脊髄神経節
・双極ニューロン:両極から1本ずつ樹状突起と軸索が反対方向に出てるやつ(網膜にある)
・多極ニューロン:教科書に載ってるニューロンのカタチ(脳や脊髄の大部分)

タグ:神経系
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2008年06月06日

マクロ解剖生理学(21)神経系〜その概略〜

神経系は試験でもよく出ますし、卒業後も
解剖学部分は臨床で、生理学部分は研究でお世話になることが多いと思います

今回はその概略を少し

●おおまかな働き

@感覚・認識
内部・外部の環境変化を感じ取り、認識する

A運動機能の調節
いくらマッチョになっても神経系が働かなければ動けません

B内臓機能の調節
内臓の働きをすばやく調和させます

C高次神経機能
今でもブラックボックスだらけです

●分類

・まず中枢神経系と末梢神経系の2つに分けます
この2つの役割はまるっきり別モノで
例えるなら
中枢神経系はパソコンの本体で、末梢神経系はコードのようなものです
末梢神経系は出る部分(脳・脊髄)で名前が変わり
脳から出るほうを脳神経(12対)
脊髄から出るのを脊髄神経(31対)といいます


神経系.png


次に末梢神経系を分類してきます

・分布する器官による分類
体性器官(筋とか感覚器など)に分布する体性神経系
自律機能に関係する器官(内臓・腺など)に分布する自律神経系

臨床にこの分類が役に立つかといったら

   たちません まるっきり



試験や研究分野ではこの部分を混同すると困ったちゃんになっちゃいます

・方向による分類
中枢(中心)に向かう神経を求心性神経といい
体性神経系なら感覚神経、自律神経系なら内臓求心性神経がこれに当たります
中枢(中心)から出て行く(末梢に向かう)神経を遠心性神経といい
体性神経系なら運動神経、自律神経系なら交感・副交感神経がこれに当たります


さてここで問題です
今までを振り返って『迷走神経は何神経に該当するでしょう?』



答えは
タグ:神経系
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