2008年06月11日

経絡経穴学総論(3)十二正経〜手の陽明大腸経〜

●経穴数:20

●気血:多気多血

●(子午流注の)時刻:午前5時〜7時

●経脈の循行
今回はいろんな経脈と交会するのでちょっと複雑かも…
@示指の橈側縁に沿って上へ
A手関節部では長・短母指伸筋腱の間を通り前腕撓側前縁に沿って肘部外側(曲池)へ
B上に向かい上腕外側を経て肩峰前辺に沿って上に向かい
 鎖骨後方(巨骨)に出て、秉風穴(小腸経)と交会
 頚椎部の大椎穴(督脈)において手足の陽経と交会した後
C下に向かい缺盆部(鎖骨上窩)に入る
D下に行く途中で肺と連絡し、横隔膜を通過して、大腸に属す
D´支脈の方は缺盆部から頚を上行し、頬部を通過した後、下の歯肉の中に入り
  折り返り出て口唇を挟んで、地倉穴(胃経)と交会
  左右両脈は人中(督脈)部位で交叉し、左脈は右に、右脈は左に向かい
  それぞれ鼻孔の傍らに至り、足の陽明胃経とつながる
また
手の三陽(陽明・太陽・少陽)経は肘にある合穴以外に
足にも下合穴というのが用意されてます
ちなみに
大腸経の下合穴は上巨虚(胃経)です

●絡脈の循行
前回書きませんでしたが、絡脈の名前はその経の絡穴の名前と同じです
なので大腸経の絡脈は偏歴といいます

走行は
@腕の後ろ3寸で上下に分かれ出る
A下に行くルートは肺経の経脈に向かう
B上に向かうルートは臂臑・肩髃の部位を経過し、下顎角部位に至り、歯肉に行き渡る
C分かれた支脈は耳の中に入り宗脈(耳に集まる経脈)に会合する

●経筋の分布
該当する部分を筋でいうと
胸鎖乳突筋、広頚筋、咬筋、笑筋、鼻翼突筋、側頭筋
僧帽筋(中部線維)、上腕二頭筋、長・短撓側手根伸筋、示指伸筋
ら辺だと思います

●経脈の症候
実証系(気が有り余ってる):経脈の循行部位に発熱や腫脹が起こる
虚証系(気が不足):寒がりになり、温まりにくくなる
というのが基本で、また

本経に異常が出ると 歯痛、頚部の腫脹 が起こり易いです

経脈の異常を起こす原因は『津(津液の津)』によるものが多いようで
大腸経の経穴は『津』の関連病症を治すのに使えるみたいですね

ちなみに主とした関連症状は
口が渇く、鼻水(水っぽいもの)、鼻出血、喉が腫れて痛い など

●絡脈の症候
実証系(邪によるもの):虫歯の痛み、耳聾
虚証系:歯が冷たい、経気の流れが悪くなる

大腸経の絡脈は耳の治療にも使えるんですね
でも、邪によるものみたいなので、慢性のものには使え無いかも
突発性難聴の初期とかかな?

●経筋の症候
・循行部位につっぱり、痙攣などが起こる
・肩の挙上ができない
・頚部が強張って左右に回転できない(横見るとかありえない)

寝違えの治療や肩の治療によく使います(効果高いです)
結構背中がポイント

タグ:中医学

2008年06月04日

経絡経穴学総論(2)十二正経〜手の太陰肺経〜

学校で経絡を学ぶとき、最初に習うのが肺経だと思います
授業では経穴の位置・解剖を覚えて終わりだったのでつらかったことしか覚えてませんが
なので
ココではもうちょい詳しく書いてきます

●経穴数:11

●気血:多気少血

●子午流注の時刻:午前3時〜5時

●経脈の循行
(この部分はあまり試験では問われないけど重要です)
@中焦からスタート。大腸に向かう
A大腸から折りかえって上へ。横隔膜を貫いて肺に属す
B気管、喉までいった後、横に走り体表へ(ここで中府に出る)
(ここからは学校で習うルートと同じです)
C腋下に至った後、上腕を通って肘窩(尺沢)へ
D前腕の𣓤側を通って𣓤骨茎状突起部(列缺)に至り
E本脈は母指球(魚際)の辺縁に沿って、母指の𣓤側端(少商)に終わる
E´支脈は列缺からまっすぐ走って示指𣓤側端へ。大腸経と接続する

●絡脈の循行
流れはE´とほぼ同じです

●経筋の循行
経脈が通る部分の運動器官ってイメージです
該当する部分を筋でいうと
母指球筋、𣓤側手根屈筋、上腕二頭筋(内側頭より)
鎖骨上・下筋、小胸筋
肋間筋、横隔膜

だと思われます
経筋治療の基本スタンスは

『阿是穴(反応点)を治療すること』

なので局所を丁寧に診ていけば良いかと

●経脈の症候(本経に異常が出るとどうなるの?)
こんな症状が出たら肺経を治療するといいようです
(呼吸器関連)咳、呼吸が荒い、せかせか喘ぐ、胸がつまって苦しい、呼吸弱い
(循行部)上腕〜前腕の疼痛・冷え、手のひら(真ん中)が熱い
精神系)心煩不安
また、
(経脈が実してつまる)肩背部の疼痛
(経脈に寒邪が入る)小便の回数は増えるけど量が少ない
(経脈が気虚る)肩背部の疼痛、寒がり、息切れ、小便の色が変わる
などの症状もおさえとくと治療に応用できそうですね


肺経.png
タグ:中医学

2008年05月28日

経絡経穴学総論(1)経絡とは


鍼灸師の診察・治療の手段として経絡は欠かせません

しかし

学校では経穴の名前・場所を覚えるだけに終わってしまい
卒業後の今、苦労してます(どんなときにどんな穴使えば良いのかとか)

なので
このシリーズでは経絡経穴の概略や作用(調べた範囲まで)を書いていきたいと思います
入りきらなくなったら各経についてのに分けるかも…

●経絡とは

経脈と絡脈の総称です
『経』はまっすぐな道という意味があり『絡』には網の意味があります
経脈は縦に流れる幹線で、絡脈は全身を網の目状に分布する経脈の分枝です

経脈には気血が流れてて、臓腑と四肢・関節を連結、体内の全ての機能を調節してます

●経絡の作用は

大きく3つです
@生理面:気血を運行、陰陽調和をはかり、外邪から体を防御
A病理面:病邪を転送する(病状が経絡を通じて身体に反映する
B治療面:鍼灸刺激を伝導、臓腑の虚実を調節

より臨床と関係深いのはA、Bですね
Bはそのまま治療に用いるんですが、Aは診察に応用します

経絡には特定のルート、連絡する臓腑があります
臓腑や器官の病証は経絡上に反映されやすいので、部位・症状・その変化によって
それがどの経絡のルート・臓腑・器官に関係しているか判断する材料になるんです

例えば、頭痛だったら
痛みが外側 ⇒ 少陽経
痛みが頭頂部より前側 ⇒ 陽明経
痛みが頭頂部より後側 ⇒ 太陽経
と、それぞれ関係することが多く
局所だけじゃなく該当経絡のルート上にも圧痛などの反応が出やすいといった感じ

この部分(経穴の診断応用)についての記述は、やはり古典に多いです
『霊枢〜九針十二原〜』には

『五臓に病あるときは十二原穴上に反応が出る

原穴の反応をよく観察すれば、五臓の疾病状態を診断できる』


と記載されています
他にもたくさんあります。探してみると奥深いですよ
ちなみに
epg*は、この原穴使うやり方が治療する臓腑の特定に1番失敗しないのでよく使います


経穴.png
タグ:中医学

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