2008年06月30日

臓腑間の関係〜臓と腑の関係〜(2)肺と大腸

肺の粛降作用と大腸の伝導作用はお互いに関係していて
スムーズな排便には粛降作用の助けが必要です
また
下がつまってると気を降ろすこともできないわけで
肺の粛降は、大腸の通暢(通りがいいこと)作用によって維持されてます

なので
・肺の粛降作用が失調する ⇒ 津液が十分に下焦に到達しない ⇒ 便秘
・大腸に実熱あり ⇒ 通暢作用がへたる ⇒ 粛降不全 ⇒ 咳喘、胸満
などの症状が現れることがあります

ちなみに
epg*タバコ吸わないんですが、吸ってる人に聞くと
朝、便が出ないときはタバコを吸うと一発で出るそうです
これって今回の肺・大腸の関係と関連ありそうですね

タグ:中医学

2008年06月27日

マクロ解剖生理学(23)興奮と伝導

神経細胞には、細胞膜のウチとソトとの間に電位差(膜電位)があります
静止状態の膜電位を静止電位といい、興奮状態の膜電位を活動電位というんです
膜電位は神経細胞が刺激を受けて興奮するときに大きく変化、軸索を伝わります

これを 伝導 といいます

ここで必要な単語は
『静止電位』『ナトリウムポンプ』『活動電位』『伝導の原則』『跳躍伝導』
です
それぞれみていくと

●静止電位

・通常、細胞内は(細胞)膜を介して外に対して −70〜−90mvの電位 を示します
・この(電位)状態は 細胞内外にのイオン分布の違い で作られます
ソトは Na+、Cl- が多く
ウチは K+、タンパク質イオン が多いです
両者のイオンは チャネル を通って移動し、イオン分布をつくります



試験的に 移動するのはK+とNa+ と覚えておけばいいかと
・K+は拡散と電気の引き寄せ(タンパク質イオンが−だから)で移動します
まぁこっちの移動はあまり問われません。問題はNa+の方です
・Na+の移動では、
Na+が拡散(濃度が高いほうから低いほうへ移動)で細胞内に入ってくるため
入ってきたNa+を 強制的に外に吐き出すシステム があります
これを ナトリウムポンプ といい
流れ(濃度勾配)に逆らって 能動的 に行うので
ポンプ作動には エネルギーが必要 です

●活動電位

細胞が興奮してるときに発する膜電位(+20〜30mv)のことです
細胞が興奮を起こす最低の刺激量(閾値)を超えれば
刺激の強度に関係なく一定の形・大きさで発生します(全か無かの法則)
逆を言えば
刺激が入っても 閾値に達しなければ 活動電位は発生しません
試験で活動電位について聞かれることが多いのは
この辺が、治療の際のドーゼ(刺激量)と関係あると思われてるからかも

教科書だとこの部分には山なりの図が載ってますね
なにやら色んな単語が書いてありますが、全部覚える必要ありません
『分極』という単語をおさえておけば内容理解できると思います

分極とは 膜が電位をもつこと(図でいうと0から離れること) です
なので、電位が0に近づくことを 脱分極 といいます
活動電位を起こしたとき電位は0より上にいきます(オーバーシュート)が
その後、またもとの状態(静止状態)に戻らないといけないので
再び分極する(再分極)わけです

このとき(脱分極相と再分極相の間)、細胞は新たに興奮できません
この時期を (絶対)不応期 といいます

●伝導の3原則

@絶縁性
神経線維の興奮は、隣を走ってる他の神経線維には伝わりません
こんなことになってたら触っただけで痛みが起こることになります
A不減衰
伝わる興奮の大きさは弱らず一定ってことです
厳密には弱るらしいですが、まぁそんなことは問われません
B両側性
神経線維の一部を刺激すると、興奮は両方向へ伝わります
でも
ふつう生体内では一方向です(両側性は実験的な話)

●跳躍伝導

髄鞘をもつ有髄線維にみられます
活動電位が軸索を伝わる際、
ランビエの絞輪から絞輪へとジャンプしながら伝導することをいいます
電車でいうところの各駅停車と特急の違いですね
普通に伝導する(無髄線維の伝導)より速いのは比べるまでもないかと

伝導の速さは 線維の太さと温度 に影響を受けます

伝導速度を上げるには線維を太くしなければならないわけで
ある程度複雑な神経系をもつ動物ではこういう形式の伝導でないと機能できないんでしょうね

次回は伝達についてです

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2008年06月23日

臓腑間の関係〜臓と腑の関係〜(1)心と小腸

臓腑間の関係って、あんまり詳しいこと書かれてないんですよね
だいたい症状(経脈間を通じたもの)が載ってるくらいで

心と小腸の場合は
心経 ⇒ 小腸経:小便の色が濃く(赤っぽい)1回の量が少ない、排尿時の灼熱感など
小腸経 ⇒ 心経:舌先が赤くただれる、心煩 など

そして臓腑の属絡関係のなかでも
他のと違って、心と小腸・肺と大腸は、パッと見た感じ繋がりがわかりづらいです



関係ありそう(?)な部分は一応存在します

心と小腸の場合

心臓も小腸もどっちも自律神経がなくても動く

ってことです

心臓は自律神経(交感・副交感)を取り除かれても約100回/分で動きます
また
小腸も自律神経を取り除いても関係なく動きます(消化管としての基本運動は保たれる)

もしかしたら、昔この関係を作った人は
心臓と小腸が『体から取り除かれた後も動きを止めないこと』に注目して
両者の働きを『火(動きを表現?)』に分類したのかもしれないですね(私見ですけど)

タグ:中医学

2008年06月11日

経絡経穴学総論(3)十二正経〜手の陽明大腸経〜

●経穴数:20

●気血:多気多血

●(子午流注の)時刻:午前5時〜7時

●経脈の循行
今回はいろんな経脈と交会するのでちょっと複雑かも…
@示指の橈側縁に沿って上へ
A手関節部では長・短母指伸筋腱の間を通り前腕撓側前縁に沿って肘部外側(曲池)へ
B上に向かい上腕外側を経て肩峰前辺に沿って上に向かい
 鎖骨後方(巨骨)に出て、秉風穴(小腸経)と交会
 頚椎部の大椎穴(督脈)において手足の陽経と交会した後
C下に向かい缺盆部(鎖骨上窩)に入る
D下に行く途中で肺と連絡し、横隔膜を通過して、大腸に属す
D´支脈の方は缺盆部から頚を上行し、頬部を通過した後、下の歯肉の中に入り
  折り返り出て口唇を挟んで、地倉穴(胃経)と交会
  左右両脈は人中(督脈)部位で交叉し、左脈は右に、右脈は左に向かい
  それぞれ鼻孔の傍らに至り、足の陽明胃経とつながる
また
手の三陽(陽明・太陽・少陽)経は肘にある合穴以外に
足にも下合穴というのが用意されてます
ちなみに
大腸経の下合穴は上巨虚(胃経)です

●絡脈の循行
前回書きませんでしたが、絡脈の名前はその経の絡穴の名前と同じです
なので大腸経の絡脈は偏歴といいます

走行は
@腕の後ろ3寸で上下に分かれ出る
A下に行くルートは肺経の経脈に向かう
B上に向かうルートは臂臑・肩髃の部位を経過し、下顎角部位に至り、歯肉に行き渡る
C分かれた支脈は耳の中に入り宗脈(耳に集まる経脈)に会合する

●経筋の分布
該当する部分を筋でいうと
胸鎖乳突筋、広頚筋、咬筋、笑筋、鼻翼突筋、側頭筋
僧帽筋(中部線維)、上腕二頭筋、長・短撓側手根伸筋、示指伸筋
ら辺だと思います

●経脈の症候
実証系(気が有り余ってる):経脈の循行部位に発熱や腫脹が起こる
虚証系(気が不足):寒がりになり、温まりにくくなる
というのが基本で、また

本経に異常が出ると 歯痛、頚部の腫脹 が起こり易いです

経脈の異常を起こす原因は『津(津液の津)』によるものが多いようで
大腸経の経穴は『津』の関連病症を治すのに使えるみたいですね

ちなみに主とした関連症状は
口が渇く、鼻水(水っぽいもの)、鼻出血、喉が腫れて痛い など

●絡脈の症候
実証系(邪によるもの):虫歯の痛み、耳聾
虚証系:歯が冷たい、経気の流れが悪くなる

大腸経の絡脈は耳の治療にも使えるんですね
でも、邪によるものみたいなので、慢性のものには使え無いかも
突発性難聴の初期とかかな?

●経筋の症候
・循行部位につっぱり、痙攣などが起こる
・肩の挙上ができない
・頚部が強張って左右に回転できない(横見るとかありえない)

寝違えの治療や肩の治療によく使います(効果高いです)
結構背中がポイント

タグ:中医学

2008年06月09日

臓腑間の関係〜臓と臓の関係〜(10)肝と腎


この2つの関係は『肝腎同源』とか『精血同源』といわれます
これにはそれぞれの機能に深く関係しているようです

肝には『血を蔵す』
腎には『精を蔵す』
という働きがありますが
血も精も、ともに水穀の精微から作られます
なので
血は精の資源になり、精は血の資源となって
お互いを滋養しあうので、上の四字熟語のような関係が成立するようですね
精が血の資源になるというのは、五行の相生関係(水は木を生む)からみたいです

この関係が病理面で出るときは、肝腎の陰陽間に現れます
例えば
腎陰不足 ⇒ 肝陰不足 ⇒ (陽を抑えきれず)肝陽亢進 
などで、ちょい実例っぽくすると
寝不足つづく(腎陰不足) ⇒ イライラし易くなる(肝陰不足)
⇒ キレ易くなる(肝陽亢進)
みたいな感じです

ちなみに
『男性の先天は腎』、『女性の先天は肝』といわれ
男性は腎陰不足の影響を受け易く、女性は肝陰不足の影響を受け易い傾向にあります
PMS(月経前症候群)とか関係あるかもしれないですね


精血同源.png
タグ:中医学

2008年06月07日

マクロ解剖生理学(22)にゅーろん


ニューロン(神経単位)とは

細胞体 + 樹状突起 + 軸索  のこと


で神経細胞と同意語として使われています

●細胞体
試験で問われることは無いと思います
超おおざっぱにいえば『細胞』の章に出てくる知識で充分です
ここがやられるとそのニューロンは死にます(軸索切れても細胞体生きてれば復活できる)

●樹状突起
ここは他のニューロンから情報を受け取る部分です
枝が茂っていればいるほど受け取る情報量は多くなります
樹状突起の発達してるやつっていうと小脳にあるプルキンエ細胞が有名ですかね

●軸索
一言で言うと、他の神経細胞へ情報を伝える出力装置です
ここを活動電位が伝わって神経終末まで伝えられ(伝導)
神経終末から放出される神経伝達物質を介して次のニューロンにバトンタッチ(伝達)
されるわけです
そのほかにも、
神経終末や軸索に必要な物質(神経伝達物質の材料やエネルギー源など)を
細胞体から終末まで運ぶ仕組みも持ってます(軸索輸送
なので
軸索が切れても、細胞体さえ死滅しないで生き残ってれば
細胞体側から必要な物質が運ばれて1日約1mmのペースで再生していきます
細胞体が死滅してると物質自体が作られないので変性して消えちゃいます



ニューロン.png


●ニューロンのタイプ

ニューロンは、軸索や樹状突起の数や極性によって大きく5種類に分けられます
・無極ニューロン:これは神経の芽です
・単極ニューロン:1本の軸索のみのもの(網膜のかん状体細胞・錐状体細胞
・偽単極ニューロン:樹状突起と軸索がくっついてるやつ(脊髄神経節
・双極ニューロン:両極から1本ずつ樹状突起と軸索が反対方向に出てるやつ(網膜にある)
・多極ニューロン:教科書に載ってるニューロンのカタチ(脳や脊髄の大部分)

タグ:神経系
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2008年06月06日

マクロ解剖生理学(21)神経系〜その概略〜

神経系は試験でもよく出ますし、卒業後も
解剖学部分は臨床で、生理学部分は研究でお世話になることが多いと思います

今回はその概略を少し

●おおまかな働き

@感覚・認識
内部・外部の環境変化を感じ取り、認識する

A運動機能の調節
いくらマッチョになっても神経系が働かなければ動けません

B内臓機能の調節
内臓の働きをすばやく調和させます

C高次神経機能
今でもブラックボックスだらけです

●分類

・まず中枢神経系と末梢神経系の2つに分けます
この2つの役割はまるっきり別モノで
例えるなら
中枢神経系はパソコンの本体で、末梢神経系はコードのようなものです
末梢神経系は出る部分(脳・脊髄)で名前が変わり
脳から出るほうを脳神経(12対)
脊髄から出るのを脊髄神経(31対)といいます


神経系.png


次に末梢神経系を分類してきます

・分布する器官による分類
体性器官(筋とか感覚器など)に分布する体性神経系
自律機能に関係する器官(内臓・腺など)に分布する自律神経系

臨床にこの分類が役に立つかといったら

   たちません まるっきり



試験や研究分野ではこの部分を混同すると困ったちゃんになっちゃいます

・方向による分類
中枢(中心)に向かう神経を求心性神経といい
体性神経系なら感覚神経、自律神経系なら内臓求心性神経がこれに当たります
中枢(中心)から出て行く(末梢に向かう)神経を遠心性神経といい
体性神経系なら運動神経、自律神経系なら交感・副交感神経がこれに当たります


さてここで問題です
今までを振り返って『迷走神経は何神経に該当するでしょう?』



答えは
タグ:神経系
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2008年06月04日

経絡経穴学総論(2)十二正経〜手の太陰肺経〜

学校で経絡を学ぶとき、最初に習うのが肺経だと思います
授業では経穴の位置・解剖を覚えて終わりだったのでつらかったことしか覚えてませんが
なので
ココではもうちょい詳しく書いてきます

●経穴数:11

●気血:多気少血

●子午流注の時刻:午前3時〜5時

●経脈の循行
(この部分はあまり試験では問われないけど重要です)
@中焦からスタート。大腸に向かう
A大腸から折りかえって上へ。横隔膜を貫いて肺に属す
B気管、喉までいった後、横に走り体表へ(ここで中府に出る)
(ここからは学校で習うルートと同じです)
C腋下に至った後、上腕を通って肘窩(尺沢)へ
D前腕の𣓤側を通って𣓤骨茎状突起部(列缺)に至り
E本脈は母指球(魚際)の辺縁に沿って、母指の𣓤側端(少商)に終わる
E´支脈は列缺からまっすぐ走って示指𣓤側端へ。大腸経と接続する

●絡脈の循行
流れはE´とほぼ同じです

●経筋の循行
経脈が通る部分の運動器官ってイメージです
該当する部分を筋でいうと
母指球筋、𣓤側手根屈筋、上腕二頭筋(内側頭より)
鎖骨上・下筋、小胸筋
肋間筋、横隔膜

だと思われます
経筋治療の基本スタンスは

『阿是穴(反応点)を治療すること』

なので局所を丁寧に診ていけば良いかと

●経脈の症候(本経に異常が出るとどうなるの?)
こんな症状が出たら肺経を治療するといいようです
(呼吸器関連)咳、呼吸が荒い、せかせか喘ぐ、胸がつまって苦しい、呼吸弱い
(循行部)上腕〜前腕の疼痛・冷え、手のひら(真ん中)が熱い
精神系)心煩不安
また、
(経脈が実してつまる)肩背部の疼痛
(経脈に寒邪が入る)小便の回数は増えるけど量が少ない
(経脈が気虚る)肩背部の疼痛、寒がり、息切れ、小便の色が変わる
などの症状もおさえとくと治療に応用できそうですね


肺経.png
タグ:中医学

2008年06月02日

臓腑間の関係〜臓と臓の関係〜(9)肝と脾


それぞれの働きをおさらいします

肝には
『血を蔵し、疏泄を主る』

脾には
『統血・運化を主り、気血生化の源である』

という働きがあります
そこをふまえて2つの働きを見てくと

●肝 ⇒ 脾
肝の疏泄作用 ⇒ 脾の運化作用を促進する

●脾 ⇒ 肝
気血生化の源、統血を主る ⇒ 血を肝に ⇒ 肝を滋養 ⇒ 蔵血を手助け

という関係になるわけです
なのでこの関係が破綻したときに出てくる症状は

疏泄の失調 ⇒ やられるのは脾 ⇒ 消化関係
食欲不振、食後の腹張、(止まらない)げっぷ など

脾気不足 ⇒ 統血できない ⇒ 肝血不足・蔵血不能(血の分配ができない
めまい、四肢のしびれ、目のかすみ、月経不順、出血しやすい(アザ作り易い) など

です
肝と脾は五行では『木と土』で相剋関係にあります
そのせいか
この2つの関係の失調(こじれ)による症状はよくみられますね


肝と脾.png
タグ:中医学

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